研修会

[W1] 明日から始める組織開発

「明日から始める組織開発」というタイトルには、気軽に組織開発的取り組みを始める糸口をつかんでいただきたいという思いを込めました。組織開発,または,OD (Organization Development) という言葉を聞く機会は増えてきたように思いますが 、 どのような取っかかりからはじめたらよいのかがわかりにくいという声もあるように思います。組織開発とは何か 、 プロセスを見るとはどういう考え方か、協働の取り組みとはどう進めるのかなどのポイントをできるだけわかりやすくお伝えしたいと考えています。事例としても、私が自分の職場で取り組んだ例などを紹介し、「そういうことなら、自分も明日からできそうだな」と感じていただけるような場を目指します。また、他の領域と同様に、組織開発も奥が深いところがありますので、深掘りしたい方への入口・書籍も紹介します。ともにお話ができることを楽しみにしています!

講師

土屋 耕治 (つちや・こうじ)
南山大学人文学部心理人間学科准教授。
1982年,神奈川県横浜市生まれ。2011年3月名古屋大学大学院教育発達科学研究科博士後期課程単位取得退学。南山大学講師を経て,2021年4月より現職。専門領域は,社会心理学,組織開発,体験学習。社会心理学の実証的研究に加え,Tグループのトレーナー,組織開発のコンサルティングも行うほか,OD Network Japanの基礎講座の講師も担当している。組織開発では,事例の心理学的理解,倫理,思想史,熟達化を専門としている。主な論文として,『組織開発 (OD) の倫理: 日本における現状の理解と今後の展開へ向けて』(組織開発研究,2020),『組織の「時間」への働きかけ: 組織開発における組織診断の事例から』(実験社会心理学研究,2016)など。


[W2] 統合的ライフプランニング(ILP: Integrative Life Planning)の基礎を学ぶ

コロナ禍によって、世界中の人々の働き方や人との関わり方、今後の生き方の見通しなどに大きな変化が起きています。このような変化の時代において、クライアントの人生全体を支援するキャリアカウンセリングにも、より新しい視点が期待されているのはないでしょうか。
「統合的ライフプランニング(ILP: Integrative Life Planning)」は、1990年代に米国ミネソタ大学教授、サニー・ハンセン教授によって開発され、その重要な課題として「グローバルな視点から自分の仕事を捉え直す、多様性や包摂性を大切にする、個人の変容と組織の変革を共に進める、人生の意味や目的を探究する」などを挙げています。研修会当日は、未来を予見したかのような先進的なこのアプローチの主要なポイントを紹介しつつ、グループワークを通して自分の生き方を振り返り、今後のキャリアカウンセラーの役割についても考える機会を持ちたいと考えています。

講師

平井 達也(ひらい・たつや)
立命館アジア太平洋大学 教育開発・学修支援センター長、教授、臨床心理士。
フルブライト奨学生としてミネソタ大学大学院にて博士号(Ph.D. カウンセリング心理学)を取得。その際、ILP(Integrative Life Planning:統合的ライフプランニング)を提唱したサニー・ハンセン教授に師事し、キャリアカウンセリングやILPなどについて幅広く学ぶ機会を得る。
国内外の複数のカウンセリングセンターでカウンセラーとして勤務した経験を持ち、社会人や大学生、産業カウンセラーなどを対象にキャリアカウンセリング研修やライフプランニングワークショップなどを数多く実施してきた。
主な専門領域は、キャリアカウンセリング、多文化間カウンセリング、グループアプローチ、ポジティブ心理学、リーダーシップ教育など。


[W3] ナラティヴ・セラピーのダイアログ

ナラティヴ・セラピーは、ポスト構造主義や社会構成主義など、拠り所にしている理論が難解であるために、ナラティヴという言葉を知っていながらも、なかなか実践には結びつかないところがあります。しかし、ナラティヴ・セラピーは、このことをまったく知らない来談者に対して提供するものである以上、実際のやりとりは、十分に理解できるものです。
今回は、実際のカウンセリングの会話を紹介し、ナラティヴ・セラピーの実際に触れてもらいます。そして、その会話についての質問を受け付けながら、ダイアログについての説明をしていきます。このことを通じて、ナラティヴ・セラピーをより身近なものになってくれたらと思います。

講師

国重 浩一(くにしげ・こういち)
1964年、東京都墨田区生まれ。ニュージーランド、ワイカト大学カウンセリング大学院修了。日本臨床心理士、ニュージーランド、カウンセラー協会員。鹿児島県スクールカウンセラー、東日本大震災時の宮城県緊急派遣カウンセラーなどを経て、2013年からニュージーランドに在住。同年に移民や難民に対する心理援助を提供するための現地NPO法人ダイバーシティ・カウンセリング・ニュージーランドを立ち上げる。2019年には東京に一般社団法人ナラテイヴ実践協働研究センターの立ち上げに参加。
2019年から日本産業カウンセリング学会の理事、2021年から日本キャリア・カウンセリング学会の理事となり、国際交流委員会に所属。


[W4] スーパービジョンができるスーパーバイザーになるために

スーパービジョンは、事例検討やケース・カンファレンスではなく、コンサルテーションや事例指導とも異なります。スーパービジョンは、カウンセラーやキャリアコンサルタントの発達と自律を促進するために提供される援助です。スーパーバイザーには、スーパーバイジーが、自らの課題を適切に自己評価し、その課題に主体的に取り組み、その過程を通して成長していくプロセスを継続的に援助する専門性が求められます。
スーパービジョンを受けた経験が豊富にあってもスーパービジョンができるわけではありません。スーパービジョンでは、スーパービジョン関係を基盤とする構造の中で、スーパーバイジーの発達と自律を促すための機能が活用されねばなりません。
この研修では、スーパービジョンができるスーパーバイザーをめざす方々のために、スーパービジョンの本質を踏まえたスーパービジョンの構造と機能を体得していただきたいと願っています。

講師

三川 俊樹(みかわ・としき)
追手門学院大学心理学部教授。1961年大阪府出身。1984年3月大阪大学人間科学部卒業。1986年3月大阪大学人間科学研究科博士前期課程修了(学術修士)。
1987年4月追手門学院大学文学部助手。専任講師、助教授を経て、2004年4月人間学部教授、2006年4月心理学部教授、現在に至る。専門はカウンセリング心理学。
2009年から日本産業カウンセリング学会のスーパーバイザー養成に取り組み、スーパーバイザーおよびスーパーバイザーの指導者(メンター)の訓練に携わってきた。現在は日本キャリア・カウンセリング学会SV委員長としてその役割を担っている。
著書には、日本産業カウンセラー協会(編)「産業現場の事例で学ぶ カウンセラーのためのスーパービジョン活用法」(共著、金子書房)などがある。
2020年度には、厚生労働省の委託事業「キャリアコンサルタントの資質の向上に資する環境整備に関する調査研究」において、キャリアコンサルティングにおけるスーパービジョンについて提言を行ってきた。


[W5] アドラー心理学による心理支援とカウンセリング

アドラー心理学は、2013年、岸見先生の「嫌われる勇気」により、日本に知れ渡りました。それ以来、アドラー心理学関連の著書が多く本屋に並んでおり、よりいっそう広まることを期待しております。一方で、「本を読んだが難しい、理解できていない、誤解をしている」という感想を聞くことが多くあるのが現状です。そこで、本研修では、アドラー心理学における「共同体感覚」をもとに(アドラー派のカウンセリングでは、「共同体感覚」の育成が求められます)、主要な理論についての理解と、心理支援、カウンセリングの場において、どのように使用していくのか、本では学べないアドラー心理学を紹介したいと思っています。90分という時間ではありますが、アドラー心理学に少しでも興味を持っていただけると嬉しいです。

講師

梶野 真(かじの・まこと)
一般社団法人 日本アドラー心理学協会代表。1972年、神奈川県横浜市生まれ。拓殖大学商学部卒業。2003年にアドラー心理学と出会い、2008年、米ミネソタ州・アドラー心理学大学院(Adler Graduate School)へ留学し、アドラー心理学修士号取得。現在は、主に日本アドラー心理学協会にてアドラー心理学の講座を展開し、アドラー心理学の専門家の育成、東京・池袋にある千村クリニックにて心理カウンセラー、母校・拓殖大学ボクシング部にてメンタルコーチを務めている。また、2019年、仲間共に日本個人心理学会を設立し、アドラー心理学の普及に取り組んでいる。著書『アドラー心理学を深く知る29のキーワード』(単著・祥伝社)、『アドラー臨床心理学入門―カウンセリング編』(編著・アルテ)

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