スーパービジョンでの皆さんから提出されたキャリアカウンセリングの「逐語録」を拝読しているとある共通点に気づきます。それは「早くクライエントの役に立ちたい」とするあまり「クライエント理解」(わかろうとする)よりも「問題解決」(なおとうとする)に走る傾向があることです。傾聴しクライエントを深く理解することなしに、どうしてクライエントの抱える問題解決支援ができるでしょうか。クライエントと温かく向き合い「こころを聴く」カウンセラーになるためには「何が大切なのか」、カウンセラーに「何が求められるのか」に意見交換しながら考えましょう。
宮城 まり子(みやぎ・まり子)
早稲田大学大学院文学研究科心理学専攻修士課程修了、立正大学心理学部臨床心理学科教授、法政大学キャリアデザイン学部教授、法政大学大学院キャリアデザイン学研究科教授を経て現在に至る。専門は、産業臨床心理学、キャリア心理学、キャリアカウンセリング。キャリアとメンタルの統合的支援、キャリアカウンセラーの養成、キャリアカウンセリングのスーパービジョン、企業おけるキャリア開発支援などに長く携わっている。