メンタル不調者が増えるなかで，人々が活き活きと自分らしい仕事を中心とした人生を歩むうえでは，キャリアとメンタルの統合的なアプローチのグランドデザインを描き，浸透させていく必要がある。一方で，地方では，魅力ある企業が存在するものの，地域雇用や定着においては，若者が将来まで見据えたキャリア形成が難しいことや，本来キャリア形成支援の中心を担うべきキャリアコンサルタントの活躍の場が都心に比べ少ないことが課題となっている。本シンポジウムでは，支援する過程での「つながり」をキーワードに，多様化・複雑化している働く人への支援モデルを，資源の少ない地方ならではの視点から検討する。学生を送り出す側の課題や工夫のほか，障害のある方への企業のサポート事例の紹介も行いながら，企業，教育機関，地域が緩やかに連携をとっていく必要性や，そのつながりを企業人事やキャリアコンサルタントがどう担っていくべきかを議論する。

シンポジスト

長谷川 和信（はぜがわ・かずのぶ）
特定非営利活動法人山梨県キャリアコンサルティング協会 理事
1993年にIT専門学校を卒業後、大手電機メーカーの関連企業に入社。システム設計や新商品開発チームで企画業務を経験。その後、地元山梨に戻り、営業、販売、製造など様々な業界を経験しITベンチャー企業に入社。WEBシステムの開発や企業向け人材研修講師を務めた。また、教育・研修事業、キャリアコンサルティング事業、企業WEBコンサルティング事業など様々な事業を立ち上げた経験を持つ。2004年に特定非営利活動法人山梨県キャリアコンサルティング協会の立ち上げに携わり、現在は協会理事、地域若者サポートステーション事業の総括コーディネーターを務め、若年未就業者の就職支援やひきこもり支援などの活動を行っている。

宮川 仁（みやがわ・ひとし）
山梨英和大学 進路部 次長，山梨県大学就職指導研究会 事務局長
1985年大学卒業後、山梨県の民間企業に就職。25年勤務の中で、主に総務、人事採用の責任者として従事する。2003年にJCDA（日本キャリア開発協会）のCDA資格を取得し、企業内キャリア開発や社員の能力開発を行う。2010年に山梨学院大学に転職、就職·キャリアセンターに所属し、大学生の就職支援、キャリア支援を行い、企業とのネットワークの構築や低学年向けのキャリア講座など、教職協働の支援体制を構築した。2020年より現在に至るまで山梨英和大学に勤務中。2021年に国家資格キャリアコンサルティングに登録。また、CIACが主催するインターンシップ専門人材研修へ参加し、インターンシップコーディネーターとして学生と企業の支援を行う。現在は、大学職員の他、「山梨県大学就職指導研究会」事務局長を務める。

沼尾 秀公（ぬまお・しゅうこう）
1992年　3月　人文学部　卒
1992年　東京エレクトロン東北（株）（現：東京エレクトロンテクノロジーソリューションズ（株）東北事業所）入社
以来人事部門を中心にメーカー機能の管理部門全般に従事
2005年　東京エレクトロンAT(株)山梨事業所人事部　勤務（～2006年）
2020年　東京エレクトロン(株)総務人事ユニット担当部長（～2022年）
現：東京エレクトロンテクノロジーソリューションズ（株） BS部門統括部長 兼人事部長

指定討論者

杉山 崇（すぎやま・たかし）
神奈川大学人間科学部 教授
臨床心理士・公認心理師、1級キャリアコンサルティング技能士。心理マネジメント研究所代表。日本学術振興会特別研究員などを経て現職。
「心理学でもっと幸せに！」を目指す心理学者。1994年から今日まで精神科、重度発達障害児、教育、産業、司法など各領域で、幼児から高齢者まで各年代の心理臨床活動に、2000年代から今日まで厚生労働省のキャリアコンサルティング事業に関わる。実存とキャリアの病としてのうつ病を心と脳の進化の観点から研究し、数多くの国費研究助成を獲得。TVなどマスコミでの啓発活動や著書も多数。啓発活動では脳心理科学者を名乗る。

企画・司会

山本 和美（やまもと・かずみ）
国立大学法人 山梨大学 教育統括機構 特任教授。国家資格２級キャリアコンサルティング技能士。埼玉大学大学院教育学研究科学校教育専攻（心理・教育実践学専修）博士前期課程修了（教育学修士）。大学生から社会人向けのキャリアカウンセリングおよびキャリアデザイン講師のほか，学校コンサルテーション，企業向け社員研修と，幅広い層のカウンセリングおよびコンサルティングに尽力してきた。主な研究テーマは、発達障害傾向のある学生（グレーゾーン）へのキャリアコンサルタントの関わりについて。