キャリアコンサルティング施策は、今から四半世紀前、技術革新など社会が変化する中で、誰もがキャリアについての相談が受けられるようにするところから始まりました。キャリアコンサルタントの登録者数は、今や7万9000人超ですが、この間、働くことを取り巻く環境は大きく変わりました。技術革新のスピードが増す中でどのように学び、活用していくのか、納得いくキャリアをどうつくっていくのか。少子高齢化が進む中で、貴重な若手をどう育て、より多くの者に長く生き生きと働いてもらうのか、女性にいかに力を発揮してもらうか、など課題は尽きません。変化のスピードがさらに加速する中で、キャリアコンサルタントに対する国の期待はさらに高まっています。そのような中、支援の現場で求められていることは何なのか。相談に携わる私たちは、何を学び、どう研鑽を積み、どのように支援すればいいのか。厚生労働省担当室長を交え、議論していきます。

シンポジスト

平川　雅浩（ひらかわ・まさひろ）
厚生労働省人材開発統括官付参事官（若年者・キャリア形成支援担当）付 キャリア形成支援室長
1994年労働省入省。職業訓練、外国人技能実習制度、障害者雇用、雇用関係助成金などの労働行政に係る政策立案・事業運営に主に従事。愛知労働局職業安定部長、厚生労働省人材開発統括官訓練企画室長、鳥取労働局長などを経て現職。キャリアコンサルティング、ジョブ・カード制度の普及促進等を通じた労働者の自発的な職業能力の開発・向上に関する施策を担当。

長谷川　能扶子（はせがわ・のぶこ）
有限会社Cマインド 代表取締役
ITの管理職時代、部下が疲弊していくのを見て「もっと皆が活き活きと働ける世の中にするには？」の答えを求め産業カウンセリングと出会う。2003年Cマインド設立。女性のキャリア支援を軸に活動の幅を広げる中、キャリアコンサルタントの質向上に問題意識を持つ。厚生労働省委託事業や技能更新講習等で、社会のニーズに応えられるキャリアコンサルタントへの成長を支援。１級キャリアコンサルティング技能士、産業カウンセラー協会スーパーバイザー、C C A認定スーパーバイザー、Walden University 心理学修士、公認心理師。2018年「セルフ・キャリアドックにおけるクライアントの満足度と支援の効果」奨励賞

住田　曉弘（すみだ・あきひろ）
東京都市大学 大学教学局長
約25年間の企業勤務や起業の経験では、人事から始まり、その後、就職進学情報事業、キャリアカウンセラー養成事業、セカンドキャリア支援事業、教育コンサルタント事業などで役員やゼネラルマネジャーなどの役割を担う。現在もキャリアカウンセラーのスーパービジョンも行う。勤務して約15年になる現所属の大学では大学教学局の責任者として、学生のキャリアを含む学修支援、社会人向けのリカレント教育などにも携わり新たな価値提供にも積極的に取り組んでいる。学外でも日本私立大学協会就職・キャリア支援委員会委員長、大学職業指導研究会副会長、日本学生支援機構キャリア教育・就職支援事業に係る協力者など多数の役割も務める。

坂爪　洋美（さかづめ・ひろみ）
法政大学 教授
民間の人材紹介業勤務後、慶應義塾大学大学院経営管理研究科博士課程単位取得退学。博士（経営学）。和光大学を経て、2015年4月より現職。専門は人的資源管理・組織行動論。日本労務学会元会長。日本キャリアデザイン学会元副会長。産業・組織心理学会常任理事。職業安定分科会労働力需給制度部会委員。「経済社会情勢の変化に対応したキャリアコンサルティングの実現に関する研究会」座長。「キャリアコンサルタント登録制度等に関する検討会」「今後の人材開発政策の在り方に関する研究会」「公的職業訓練の在り方に関する研究会」委員。

司会

浅野　浩美（あさの・ひろみ）
事業創造大学院大学 教授
筑波大院修了。修士（経営学）、博士（システムズ・マネジメント）。厚生労働省で、キャリア形成支援室長としてキャリアコンサルティングの普及、首席職業指導官としてハローワーク指導にあたったほか、労働局長として働き方改革を推進。『キャリアコンサルタント・人事パーソンのためのキャリアコンサルティング』労務行政（2022年）、『日本キャリアカウンセリング史 正しい理解と実践のために』共著、実業之日本社（2024年）。国家資格キャリアコンサルタント、1級キャリアコンサルティング技能士、産業カウンセラー、社会保険労務士、日本キャリアデザイン学会専務理事、日本キャリア・カウンセリング学会編集委員。