大学におけるキャリア教育は、大学設置基準改正(2010)により急速に拡大し、現在、大学の97.9%が教育課程内で実施されているものの、学校教育を構成していくための理念と方向性を示すものとされていることから、その方法は一様ではないことが指摘されています。「キャリア教育」という文言が公的に登場してから25年経った今、社会構造の変革や三省合意(2022)などを背景に、特に大学のキャリア教育は大きな過渡期にあると言えるのではないでしょうか。本企画では、大学のキャリア教育に焦点をあて、①キャリア教育の黎明期を支えてきた立場からの問題意識、②多様な学生の課題、③キャリア教育を就活支援も含めた広義の意味で捉え、その担い手としてのキャリアコンサルタントの課題、と様々な視点から課題などを共有します。ファシリテーターを通じて、参加者の皆様と大学におけるキャリア教育の新たなフェーズに向けたヒントを探ります。
三川 俊樹(みかわ・としき)
追手門学院大学心理学部 教授
1986年3月大阪大学人間科学研究科博士前期課程修了(学術修士)。1987年4月追手門学院大学文学部助手。講師、助教授を経て、2004年4月人間学部教授、2006年4月心理学部教授、現在に至る。専門はカウンセリング心理学。この間にキャリア開発部長を兼務し、大学4年間を通した正課の授業と就職・進路支援行事が連携した「追大キャリア形成支援プログラム」に関与した。2006年度には日本学生支援機構による「大学等の就職・キャリア支援担当者のための研修プログラム構築に関する報告書」を基礎に設計された「就職・キャリア支援研修会」を担当し、後に「就職・キャリア支援教職員研修会」として2011年度まで継続した。
山本 和美(やまもと・かずみ)
国立大学法人山梨大学 教育統括機構キャリアセンター特任教授
日本キャリア・カウンセリング学会 キャリア教育委員会委員長。山梨大学キャリア形成部門長。国家資格2級キャリアコンサルティング技能士。埼玉大学大学院教育学研究科学校教育専攻(心理・教育実践学専修)博士前期課程修了(教育学修士)。筑波大学人間総合科学学術院教育学学位プログラム博士後期課程在籍中。大学生から社会人向けのキャリアカウンセリングおよびキャリアデザイン講師のほか,学校コンサルテーション,企業向け社員研修と,幅広い層のカウンセリングおよびコンサルティングに尽力してきた。主な研究テーマは、発達障害傾向のある学生(グレーゾーン)への支援。
川端 由美子(かわばた・ゆみこ)
国立大学法人 和歌山大学 キャリア教育・支援部門 副部門長/講師
1級キャリアコンサルティング技能士、産業カウンセラー。大学卒業後、金融機関で教育・採用業務に従事。結婚および配偶者転勤を機にキャリアコンサルタント業を開始。函館・東京・新潟での勤務歴あり。2009年より大学のキャリアセンター勤務。この間、2019年に北海道大学大学院教育学院教育学専攻博士課程を修了、博士(教育学)。専門は人的資源管理論(特に転勤)、キャリア形成。2024年より現職、国立大学勤務は3校目。1級および2級キャリアコンサルティング技能士資格を目指す人を対象にしたスーパーバイザーも行っている。
古田 克利(ふるた・かつとし)
法政大学キャリアデザイン学部 教授
博士(技術・革新的経営)。専門は組織行動論。1997年富士通株式会社入社(官公需営業本部配属)。パナソニックシステムデザイン株式会社のシステムエンジニア、経営企画課長、人事課長を経て、2011年4月より大学教員に転じる。関西外国語大学英語キャリア学部准教授、立命館大学大学院テクノロジー・マネジメント研究科教授を経て、2025年4月より現職。主著に『IT技術者の能力限界の研究―ケイパビリティ・ビリーフの観点から』(日本評論社、日本労務学会学術賞受賞)。日本キャリア教育学会 理事、経営行動科学学会 監事。
新井 香子(あらい・きょうこ)
パーソルビジネスプロセスデザイン株式会社 講師・コーディネーター
2020年昭和女子大学生活機構研究科心理学専攻修士課程修了 2018年通信事業会社退職後、フリーランスとして行政・大学・企業内外のキャリアコンサルタント業務に従事。2021年より駒沢女子大学/キャリアプランニング、2023年より東京成徳大学/社会人リテラシーの授業を非常勤講師として担当。並行し2023年4月より都立高校生の職場体験プロジェクト事務局メンバーとして、企画、企業開拓、高校生向けビジネスマナー研修登壇、職場体験引率業務に従事。