今や国家資格キャリアコンサルタントは8万人を超えそうですが、課題も多いといえます。資格は取ったものの、実際のケースを担当する機会がなく、事例検討会やスーパービジョンを受けた経験もなくカウンセリングの質の向上もままならず、取得した資格を稼げる仕事にできる人は何割くらいでしょうか。「資格ビジネス化」が進行しているとの見方も可能でしょう。自らスーパービジョンを受けたこともなく、カウンセリングもせず、主に対策講座の講師を仕事にしている一級ホルダーもいると聞きます。
当学会名称は「カウンセリング」の概念を大事にして、「キャリア」と「カウンセリング」の間にナカグロ(・)を入れています。
目の前には「キャリア」どころか「生存」がかかるクライアントもいる現実をふまえて、対人支援としての「カウンセリング」の質を向上させるために何が必要か。心構え、技術、カウンセラーとしての生き方について再考します。
廣川 進(ひろかわ・すすむ)
法政大学 キャリアデザイン学部 教授
法政大学キャリアデザイン学部教授(文学博士)、日本キャリア・カウンセリング学会前・会長。ベネッセコーポレーションに18年勤続、育児雑誌ひよこクラブ創刊に携わり2001年退社。大正大学大学院修士課程(臨床心理学専攻)、同博士課程を修了。大正大学臨床心理学科教員を経て2018年から現職。
資格:公認心理師、臨床心理士、シニア産業カウンセラー、2級キャリア・コンサルティング技能士、当学会認定スーパーバイザー。
主な著書:「心理カウンセラーが教える「がんばり過ぎて疲れてしまう」がラクになる本」、「キャリア・カウンセリングエッセンシャルズ400」(編集委員)、「これで解決!シゴトとココロの問題」)